"愚かな首相”報道問題

たまたまMSNの産経新聞の記事を読んだら、ワシントン・ポストが鳩山首相のことを”不運で愚か”と酷評したとの記事があった。どうせ以前の読売新聞のごとく、でっち上げの記事では無いかと思いWashington postの記事を読んでみたら確かに鳩山首相に対して厳しい内容の記事ではあった。しかしそれにしても日本の海外駐在記者のレベルは低すぎる。 まず翻訳された”不運で愚かな”と言う言葉だが、原文ではhapless and (in the opinion of some Obama administration officials) increasingly loopy Japanese Prime Minister Yukio Hatoyamaとなっている。 ここら辺の
翻訳は常識ある大人であれば非常に気を使って書かねばならないところだ。 Loopyは確かに愚かと言う意味も含まれているが(恐らくコンガラガッタと言うニュアンスのほうが大きいと思う。 increasingly loopyで”ますます愚か”では無く”ますますこんがらがった”と言う意味になるのである。又Loopyと言っているのは筆者では無くてオバマ政府のある役人(複数)だと断っている。(以前のポストの記事では、米国政府関係者の中には何でも言うことを聞く自民党政府のほうが良かった、と文句を言うひとが多いと書かれていたので、その様な人も大勢いるでしょう。) 但し、私が困ったと思うのはこの点ではなくて、”ワシントンポストが鳩山のことを酷評した”というところだ。 これは新聞の一面にある記事では無い。Al Kamenと言う人のコラムなのである。コラムに載っている意見がワシントンポストの社説という訳では無い。 これは常識の話だ。 NY TimesであってもWashington Postであってもコラムに載っている意見はコラムニストの意見であって、会社を代表するものでは無い。極めて非民主主義的な日本の新聞においてはコラムにおいても会社の意向に逆らった意見は載せないのが常識なのだろうが、米国では全く異なります。同じ新聞のコラムニストが他のコラムニストの批判をしても不思議では無いのです。ここで(恐らく産経だけでないのだろうが)”米国を代表する新聞が日本の総理大臣を馬鹿だと言った。”と言う記事を乗せる日本の一流の新聞社のレベルは真に情けない。これが本当であれば、勿論日本国民が怒っても良い話だ。 コラムニストの一人の意見を大きく拡大してワシントンポストの意見だと報道する意味がどこにあるのだろうか? 残念ながら日本の海外報道には米国のマスコミが時々みせる(日米関係についての)切れ味の鋭い分析も洞察力も全く無い。 米国の権威のあるマスコミの力を借りて自社(トップ)の意見におもねる真に卑しい記者根性が見え隠れすると思うのは考えすぎだろうか?(もっとも前回の読売新聞のいんちき記事よりは余程ましですが)

とここまで考えたところで、このワシントンポストの記事に対して平野官房長官が怒ったとの記事 が記載されていたのには驚いた。 日本国政府の官房長官が米国の一新聞のコラムニストに対して怒るのは真にお粗末ではあるが、彼もWashington Postの原文を読んでいないのでしょう。 原文を確認せずして日本のマスコミを信じて外交に関わる発言をするとは政治家として不注意も甚だしい。 まあ、どっちもどっちだなあ。。。。。 







この記事へのコメント

Zero
2010年11月06日 02:28
YUranoさんのように、英語が堪能でいらっしゃる方が、このような間違った翻訳に基づく報道を、正してくださるような公の場が欲しいものだと、ブログを読ませていただいて思いました。しかし、こうしたことを考えても、やはり外国語の能力は非常に重要ですね、自分の目で海外の本当の情報を確かめるツールとなりますから。しかし、細かいニュアンスまで理解できるようになるまでには、どれくらいかかるものなのでしょうね、、、。・・やはり、YUranoさんのような堪能な方に、頑張っていただきたいものですね。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。
YUrano
2010年11月17日 17:11
Zero様
何時もコメント有難うございます。Loopyについては私も語感を完全に抑えているのではない(日本人も米国人も同じ言葉でも同じ理解をするとは限らないのですが)のですが、少なくとも”愚か”と言う直接的な翻訳は不適当だと思います。但し私が問題にしたいのは、辛らつでユーモアのある政治記事を得意とするいちコメンテータのコラム記事をあたかもワシントンポストの社説のごとく伝えている不正確さです。外国の極端な意見を全体の意見のごとく伝える姿勢が一部マスコミにあることを注視したいと思います。(最近、個人的事情によりブログを中止しておりますが、そろそろ再開したいと考えています。)
Zero
2010年12月07日 01:06
何度か、ブログの更新をチェックさせて頂いておりましたが、このコメントのお返事も頂いていたのですね、ありがとうございました。日本のマスコミは、でっちあげようとしているならまだしも、自身も分かっていないということの多いところが、ますます始末に負えませんね。ブログの再開、楽しみにしております。


この記事へのトラックバック